西海橋(1955)と新西海橋(2006) -橋梁スペックを読み解く-

☆☆長崎県道路公社:西海大橋(写真奥)と新西海大橋(写真手前)  -橋梁スペックを読み解く-

☆写真奥:西海大橋(1955年)上路式鋼ブレースドリブ固定アーチ橋
・上路式(じょうろしき)
 アーチの“上”に道路が載る形式。
 アーチが下で支え、道路はその上を走るため、見た目が安定しており、海峡の眺望も良い。
・鋼ブレースドリブ
 アーチを構成する“リブ(主弦材)”同士を、斜材(ブレース)でつないで補強した構造。
 細い部材を組み合わせて強度を出すため、軽くて強い“トラス的アーチ”になる。
・固定アーチ橋
 アーチの両端を“がっちり固定”して支える方式。
 構造的には剛性が高く、1950年代の技術水準で長大スパンを実現するための合理的選択だった。
◆ まとめ:
西海大橋は、戦後の鋼橋技術が成熟し始めた時期に建設された、軽量トラス的アーチを用いた上路式アーチ橋。固定アーチという古典的で堅実な構造を採用し、当時の技術で海峡を越えるための最適解として生まれた橋といえる。


☆写真手前:新西海大橋(2006年)鋼中路ブレースドリブアーチ橋
・鋼
 主構造を鋼材で構成。
 長大スパンに必要な高強度・軽量性・施工性を確保。
・中路(ちゅうろ)
 道路がアーチの“中間高さ”に位置する形式。
 上路式よりも風の影響を受けにくく、景観的にもアーチの存在感が際立つ。
・ブレースドリブ
 西海大橋と同じく、アーチリブを斜材で補強した構造。
 ただし2000年代の設計では、解析技術の進歩により、よりスレンダーで洗練された形状が可能になった。
・アーチ橋
 アーチが圧縮力を負担し、道路を吊り材で支える方式。
 新西海大橋では、景観性・耐風性・施工性のバランスが取れた現代的アーチが採用されている。
・まとめ
新西海大橋は、21世紀の鋼構造技術を反映した中路式アーチ橋。アーチの存在感を活かしつつ、耐風性と維持管理性を高めた設計で、旧橋の技術的系譜を継ぎながら現代化した“進化形アーチ橋”といえる。
☆土木学会 田中賞作品部門 2007年(平成18年度)

投稿日時 2022-08-12 17:23:00

投稿:吉川弘道(東京都市大学名誉教授 工学博士)