旅足橋(たびそこはし)-世界にわずか5橋の特異な吊橋-

 旅足橋は丸山ダム建設に伴って、木曽川とその支流旅足川との合流点に架設された道路橋です。道路は国道418号の旧道で、2029年度竣工予定の新丸山ダム建設により水没する為、順次付替工事が進められており、既に新旅足橋を含むバイパスが一部開通しています。
 本橋の最大の特徴は、補剛トラス中央部の上弦材を主ケーブルに兼用させた特異な構造で、アメリカの橋梁エンジニアD.B.Steinman氏の考案によるもの。本形式橋の架設例は世界でたったの5橋、現存は3橋のみ。その内主ケーブルをアイバーで代用した橋を除くと、ウォルター・テイラー橋と本橋のみという大変希少な形式の橋と言えます。その後、橋梁技術の急速な進歩により、アーチやローゼ・斜張橋の時代となり、本橋を最後にこの形式を採用する事例はありませんでした。
 我が国の吊橋技術の進展に貢献し幾多の台風にも耐えた本橋も、新丸山ダム建設工事の進捗により撤去されるものと思われ、湖底に眠る旅足川水路橋のように、ひっそりとその役目を終えようとしています。

 竣 工:1954年(昭和29年)
 構 造:下路型単径間補剛トラス吊橋 他
 支間長/幅員:114m/4.5m
 設 計:笹戸松二 氏

 同形式の橋(竣工年/支間長)
 ・1926年 Hercilio Luz橋  340m(ブラジル)
 ・1928年 Silver橋     213m(アメリカ)(1967年崩壊)
 ・1928年 St. Marys吊橋  213m(アメリカ)(1971年撤去)
 ・1936年 Walter Taylor橋 183m(オーストラリア) 

参考文献
 ・岐阜県八百津町「旅足橋」について 我が国唯一のFlorianopolis橋型の吊橋/山根 巌

投稿日時 2020-10-17 11:34:17

投稿:伊藤 純