高分解能衛星が伝える羽田空港拡張プロジェクト:D滑走路の建設過程 (C)DigitalGlobe

土木施設は面的な拡がりをもつ広域施設となることが少なくない。このような場合、遥か上空から俯瞰し、その機能とレイアウトを視覚的に理解することが重要である。ここでは、高分解能衛星(IKONOS、GeoEye-1)による羽田空港(東京国際空港)の衛星画像を披露したい。
画像1は、5,000m×5,000mのライブラリー画像であり、運用中のA, B, C滑走路および建設中の新滑走路(D滑走路)を確認いただきたい。この新滑走路は、良く知られているように埋立て部と桟橋方式のハイブリット構造となっているが、折しも工事最盛期であるため、(連絡橋も含めて)そのハイブリット構造の特徴をはっきりと識別することができる。画像2では、工事最盛期の3年間に亘る建設過程を4段階に分け克明に伝えている。
衛星高度681kmの太陽同期準極軌道にて捉えられた高分解能衛星画像は、作業中の重機や工事船が動き出すのではないかという臨場感を醸し出し、粛々と進む海上工事の全容を伝えている。
我が国の最先端海洋土木技術が駆使されたD滑走路(羽田空港再拡張事業)は、2010年10月に供用開始し、その後の発着回数の増大に大きく寄与している。そして4本の滑走路を具備する羽田空港は、JFK空港(米国、ニューヨーク)、シャルルドゴール空港(フランス、パリ)などと肩を並べる世界有数の国際空港として、2020年東京オリンピックパラリンピックを迎えることになる。戦後、1952年(昭和27年)に再開された東京空港(当時の名称)は、新たなレガシーを育むことになる。

[画像1] 高分解能衛星により俯瞰する羽田空港
【撮影2009年4月7日、GeoEye1 (C) DigitalGlobe】
[画像2] 建設中のD滑走路

投稿日時 2019-08-20 12:17:00

投稿:吉川弘道